Yakumoの日記

Track Making / DJ | Love Sampling, Frenchcore/Hardtek, Jaycore, Funkot etc...

【2023年】Yakumoの活動まとめ -作曲編-

 本記事は2023年にYakumoがリリースした楽曲やその感想をまとめたものになります。

 今年はYakumo名義として細かなものを含めると14の曲を作り、2つのEPをリリースしました。聴いてくださった方はありがとうございました。自分はなかなか制作のペースが安定しないので、これくらいが限界だと思います。これからも僕なりのペースで続けていきますので、どうぞ応援よろしくお願いします。

 それではリリース順に見ていきます。

01. MEGAMIX in WINTER

yakumo.bandcamp.com

リリース日:2023/01/28

ジャンル:Funkot (Jaycore)

BPM:198

 DIGITAL OFFLINEに出演する際の物販として何か新曲を持っていきたかったので、去年作ったMEGAMIX in SUMMERの連作として書いた冬ファンコット役満おじさん先生にとっても素敵なジャケットを描いてもらったのでたまらずステッカーを作成した。

 Darker than Blackをネタの基盤にしつつ、「記憶」をキーワードに様々な要素を付け足していった。体制としてはFunkotになっているが、文脈や精神性を考えたときにはやはりJaycoreと呼称するのが正解な気がする。

02. 終

soundcloud.com

リリース日:2023/03/17

ジャンル:???

BPM:200

 今年二曲目にして突然の終了。イベントで失敗して死ぬほど病んだ時に一時間くらいで作った。こういう感情のリミッターが外れてるときって普段考えもしないようなことを勢いでやりだすから案外面白いのができたりする。

03. Keyboardcrrrrr [平成エクスプローラー EP]

yakumo.bandcamp.com

リリース日:2023/04/30 (春M3)

ジャンル:Juke/Footwork

BPM:160

 去年作った既存曲二つ + リメイク一つ + 新曲の全四曲入りEPを春M3でリリースした。自分の想定をはるかに超える反響があって、開場から一時間も経たないうちに売り切れてしまった。ありがとうございます。すみませんでした。その後も定期的に購入者が現れ続けていて本当にありがたい限りです。平成という分かりやすいテーマと、「平成EP」というキャッチ―な題名がよかったのかな、と個人的に思ってます。言いたくなるよね、「へーせーいーぴー」って。

 新曲の方は2月に知り合いとJukeでDJをしたときに「自分もこういう音楽作ってみたいな」と思ったのがきっかけで制作した。同じ大学の先輩でもあるtellurさんの刻み方やビートを真似したらあっさり見破られてしまった。音割れ地帯やジャージー地帯など多様な展開があって、自分でも「なんでこれ作れたんだろう…」と今でも思っている。

 この曲のおかげでブレイクビーツ系のDJをするときでも無理なく自分のトラックを流せて助かっている。

04. Still Vivid [東方慶慧音]

画像

リリース日:2023/04/30 (春M3)

ジャンル:Classic Hardstyle

BPM:150

 所属している大学のサークルの東方アレンジコンピに参加した際の楽曲。原曲は千年幻想郷 ~History Of The Moon。Bandcampページが消えてしまったので現在はCDを買った人しか聴けないレア音源。とにかく2010年代前半のHardstyleを意識して作った。近年のY2KブームでJumpstyleや周辺の音楽が再注目されているのはうれしいですね。

 同じコンピのTsushimadaさんの作ったオーエンFrenchcoreが最高なのでぜひ聴いてください。

05. you like it, and i also like it. what difference does it make?

soundcloud.com

リリース日:2023/09/14

ジャンル:(not) hyperflip

BPM:135

 春M3以降EPの制作に取り掛かっていたので、ここから一気にリリース期間が空いてしまったが、誕生日に偶然一曲できたのでサンクラで公開した。ニコニコ動画で配信されている一本のボイスドラマに強く影響を受けた自己矛盾コア。

 当時の自分の中であまりにも増大した負の感情に突き動かされて作ったので、結果的に愛憎のある楽曲になってしまった。みんなが楽しんでいるものに対して水を差すような真似をしたことを今でも後悔しているし、そんな自分が嫌いだけども、それらすべてを完全に否定することはできない…そういうあまりにも多い矛盾を孕んだ曲。

06. ·​̩​͙​*​+​. ̊☽ 𝙨​𝙞​𝙜​𝙣​𝙖​𝙡​:​𝟮​𝟬​𝟬​𝙓 ☾ ̊​.​+​*​·​̩​͙ [新しいフォルダー (7)]

yakumo.bandcamp.com

リリース日:2023/09/22

ジャンル:nightcore

BPM:200

 インターネットレーベル"Lost Frog Productions"のコンピレーション"新しいフォルダー (7)"からリリースさせていただいたkrush型合法nightcore(?)。違法サンプリングを使用していないYakumoの数少ない著作権クリーンな曲。タイトルを全て特殊文字で書いたため、楽曲情報の登録をする際にロスフロさんに手間をかけてしまった。

 リリース時期も相まって、平成EPから一段上の表現を得た新しい自分自身のスタートへと繋げる、その橋渡しを担う重要な一曲になったと思っている。

07~12. Crush my Memories

digitaloffline.bandcamp.com

リリース日:2023/10/27, 29 (秋M3)

 2022年よりクラブイベントとして運営されてきたDIGITAL OFFLINEがついにレーベル化。その第一作目として自分の2nd EPをリリースしていただいた。

 EP全体を通して語りたいことは山ほどあるけども、それに関してはひとつのまとまった記事を某所に寄稿したので、ここではあまり言及せずに留めておきます。

 立ち位置としては自分の表現したいことを突き止めて、それに準ずるサウンドで構成した意欲作…みたいな感じになったと思う。今年一年の活動の集大成的な作品になったので、ぜひ聴いてみてください。

13. now i'm just logged out.

soundcloud.com

リリース日:2023/12/21

ジャンル:#sorry

BPM:195

 2nd EPに収録したnegimisoさんとの合作曲が完成した後、彼がより独自の解釈を前面に出したものをリリースしたので対抗して(?)僕も作ってみた。12月はとにかく孤独を感じて精神を病んでいた時期だったので、どうしても伝えらえない本当の素直な気持ちをそのまま曲に落とし込んだ。サンプリングの元ネタは某大物実況者の某動画。

14. 終2[JPxG GREATEST HITS 2023]

jpxg.bandcamp.com

リリース日:2023/12/29

ジャンル:???

BPM:174

 12月に人間関係の失敗でこれまた病んだのでまさかの二回目。そして気が付いたらコンピレーションに収録されていた。僕のやつはともかくコンピはめちゃくちゃ新しくて面白い内容なのでぜひチェックしてみてください。

おわりに. 2023年の総括、来年の抱負

 今年はデビュー作として平成EPをリリースしてからあっという間に2nd EPまで発表して、本当に駆け抜けるような一年でした。その中でだんだんと自分が音楽で表現したいことが見えてきたので、来年はよりそれを突き詰めるようなリリースをしていきたいと思います。とは言ってもこれから学業やら就活やらで本格的に忙しくなる予定なのでリリースのペースはどうしても落ちると思いますが…。

 とにかく自分の音楽が誰か一人でも大切な存在であったらいいなと願ってこれからも頑張ります。2024年もYakumoをよろしくお願いします。

 それではお疲れ様でした。よいお年を!

【2023年】Yakumoの活動まとめ -DJ編-

 本記事は2023年にYakumoが出演させていただきましたDJイベントやその感想をまとめたものになります。

 今年は合計23ものイベントに出演させていただきました。(うちクラブイベント18、配信イベント3、VRイベント2)声をかけてくださった主催者の方々、共演してくださった演者の皆様、そして自分のDJを見てくださったすべての人達、本当にありがとうございました。これからもYakumoは頑張りますので引き続き応援よろしくお願いします。

 それでは1月からひとつずつ振り返っていきます。

 

01. DIGITAL OFFLINE [01-28]

 今年一発目の出演は初の2フロア開催となったDIGITAL OFFLINEでした。とにかく当時自分が伝えたかった気持ちを全部詰め込んだDJをしました。(詳細を書いた記事も出してます。)また物販として自分のシングルをリリースするなどをしました。

 自分の活動にとってひとつの大きなターニングポイントとなった出演でした。本当に出演できて良かったと思っています。またこの後ご縁があり、10月に自分が主役になって再びDIGITAL OFFLINEに出演することになりますが、まさか当時の僕はそんなこと思いもしませんでした。

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02. NextUniRhythm [02-26]

 中目黒で行われた、関東圏の大学のDJサークルが集結したイベント。元々自分は客として遊びに行く予定だったのですが、急遽頼まれて出演することになりました。たくさんの同年代の方々と知り合えたり、自分のDJを見てくれた方がその場でオファーをかけてくれたりしてとても嬉しかったのを今でも覚えています。最後のB2Bタイムで全員で暴れ散らかしたのもめちゃくちゃ楽しかったですね。

03. サブカル鳥獣戯画 [04-01]

 その節は大変ご迷惑をお掛けしました…。知り合いのsuleiman.jpさんとAbleman Liveと僕の3人でミックス・動画を作って限界集落の配信イベントに参加させてもらったのですが、僕が調子乗ってクソ長い名義で出したせいで各所にご迷惑をおかけしてしまいました。本当に申し訳ございません。

 DJの内容自体はかなり気に入っているので、良かったら観てやってください…。

www.youtube.com

04. Keio Music Invitation [04-06]

 所属している大学のサークルの新歓イベントでDJしました。僕は部員の曲だけでDJやりましたが、何やってもいいよ!って言われてたのでみんな自分の流したい曲好き放題かけて暴れてましたね。こういうプライベートパーティーもたまには楽しいですよね。

05.  こじこじナイト [05-03]

 知り合いのこじぴさんに誘われて白楽のバーでDJしました。神フライヤー。イベントの前に東京のイベントに遊びに行ってたので、現場に着いたのが自分の番の5分前とかになってしまった。ほぼ初めてセトリなしの状態で現場でDJしたけど、結構うまくいったと思った。めっちゃsextrance流した記憶がある。

06.  FRIQTION [05-19]

 主催のTempl8zさんに誘われて千葉県津田沼のメディテラという場所でDJしました。ここまでガッツリハードコア、という感じのイベントに出るのはほぼ初めてだったので、Hardtek, Frenchcoreの流れから、自分がルーツを置いているJaycoreに誘う感じのDJをした記憶がある。

 そしてここから、自分のDJを見てくれてその場でオファーを貰いメディテラに出る、ということを二回ほど繰り返すことになりました。ありがたい限りです…(泣)自宅から津田沼は決して近くはないけれど、彼らのローカルなシーンも日々盛り上がりを見せているし、僕も必要としてくれる人がいる限り喜んで飛んでいきます。これからも応援しています。

07.  DISTORTED CITY -Frenchcore Day- [05-23]

 Sabjektさん主催、新宿のビルの屋上で行われたFrenchcoreオンリーイベント。当日はあいにくの雨だったけど、それもまた幻想的だった。自分の大好きなフレンチコアがずっと流れ続けてて最高の体験だった。こういうイベントをずっと待ってたし、そこにDJとして出演できたのは本当に嬉しかった。もちろん、このあとさらに大規模なフレンチコアパーティーが開催されることになるとは、当時知る由もなかった。

08.  限界集落祭 『現』 [07-08]

 Discordサーバー"BPM200OVERの限界集落"の配信イベント『限界集落祭』がついに現地開催。ありがたいことに自分もお呼ばれしたので、関東を代表する気持ちで姫路まで3泊4日で遠征してきました。(遠征レポも書きました。)とても楽しくて夢みたいな四日間だったし、自分のミックスも今年トップレベルで気に入ってます。ぜひ聴いてみてください。

 来年も限界集落のイベント出たいですね。これからも限界集落と姫路のクラブシーンを応援しています。

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09.  たこつぼをでよ [07-12]

 たこぴー君主催で行われたオフ会的イベント。のはずだったが、思った以上にいろんな人が見に来てくれてほんとに良いイベントだった。Breakcore, Drum'n'Bass中心でお願いしますとのことだったので、自分にしては珍しくnot4つ打ちのDJをした。その中で自分の一貫した表現を通し切ることができたと思っているので、これも結構気に入ってるセットです。再現mixもあるので、気になった方はぜひ。

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10. The XPRMNT [08-09]

 DJサークルD.D.Dのマンスリーイベントにゲストとしてお呼ばれした二回目のメディテラ出演。自分はハードコアを軸にしつつ、7月に出たleroyの新譜のハードサウンド解釈を試みたDJをした。この日のCeRaffさんのパフォーマンスにめちゃくちゃ食らったのを今でも覚えている。津田沼はマジでアツいコミュニティです。

11. rumble全員遅刻 [08-11]

 ちょうどH Bさんとigaさんが北陸から遊びに来ていたので、都内某所のスタジオをレンタルしてみんなでB2B大会をした。名前の通り、誰も集合時刻に間に合わずみんなマイペースだなって思った。(すみませんでした。)H Bさんは2024年から関東に上京してくるとのことなので、これからますますの活躍が楽しみですね。

12. いえブファイナル [08-11,12,13]

 去年に引き続きいえブにsuleimanさんとのユニット、㍻インターネットやめろ流星群で出演しました。自分の方向性を決定づける大きな要因となったパフォーマンスを、同じイベントで再びできてよかったです。いえブよ、永遠なれ。

 ㍻インターネットやめろ流星群(DJ: Yakumo, VJ: suleiman.jp)での出演依頼、お待ちしております。

13. スーパー銭湯 ~夏の特別編~ [08-20]

 SoundCloudに謎の音源を排出し続けてきたAbleman Liveとのユニット、DJ BlueBack Studioでの出演。自分たちはトリだったけど、予定通りの時間で終わろうとしたらそこからAblemanが一人で30分くらい延々とjuke回し続けて怖かった。やはり彼はただ者ではない。

 再現mixもあります。ほら、見ろよ見ろよ

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14. Departures [08-29]

 Yakumo初のVR出演。カワイイふわふわうさぎちゃんになっちゃった。いまだにトラッカー持ってないデスクトップ勢ですが、VRのお誘いもいつでもお待ちしています。こっちはこっちで独特な繋がりや世界が広がっていてとても良い環境だなと思いました。これからもちょこちょこ顔出します。

15. 幻想 Jelly Moon [09-08]

 三回目のメディテラ。いつか東方イベ出たいなと思っていたので誘っていただけて嬉しかったです。この日三度目の悪戯センセーションを流したらハイボールが飛んできた。普段と全然違うコミュニティの人達と共演できてとてもいい刺激になりました。

16. 川崎市亜面工業高等専門学校 3時限目 [09-23]

 限界集落祭現地でDJをしたときにお会いした3zoさんにお誘いいただいてアーメン高専に出演しました。普段アーメンガチャガチャ系ってそんなにやらないので自分の持つ世界観を大事にしつつDJをしたら、それがしっかりと伝わっていて本当に安心したし自信につながりました。40Ki_さんのめちゃくちゃ渋いnotブレイクコアのアーメンセットがとても印象に残っています。

17. DIGITAL OFFLINE release party by Yakumo [10-27]

 DIGITAL OFFLINE初のレーベルリリースとして自分の2nd EPを出させてもらい、そのリリースパーティーをやりました。初のナイト出演、初の大トリ、そしてこのメンツで終始緊張しっぱなしだったけど、DJが始まってからはちゃんと落ち着いて、自分のすべてを出し切ることができた。

 2023年のYakumoを象徴するパーティーになった、自分にとって一生忘れられない夢のような舞台でした。2024年もDIGITAL OFFLINEとYakumoをよろしくお願いします。

18. The Frenchcore Connection [11-05]

 まさかの六本木CUBE二週連続出演。前週がトラックメーカーとしての晴れ舞台なら、こっちはDJとしての晴れ舞台といった感じだった。CUBEの最高なサウンドで大好きなフレンチコアがずっと流れ続ける空間は本当に最高だった。「場をフレンチコア一色に染めたい」という主催のSabjektさんのアツい想いを聞いていたので、この日はあくまで主役はフレンチコアのつもりでオープニングDJに臨んだ。

 イベントの前後にSabjektさんからイベントにかける想いやオーガナイズ哲学をたくさん聞いて本当に勉強になったし、ここで自分もイベントを主催しようという決断をすることができた。そういう意味でもとても大切な日になった。

19. Synthetic Sence [11-18]

 H Bさん主催のVRDJイベント。第二回の今回はサンプリングミュージックがテーマということで、自分のサンプリングに対する姿勢や愛憎、自己矛盾的な側面を出すDJをやりました。海外勢が当然のように出演していたり、幻想的なワールドにVJがすごく映えていたりと、VRの強みが存分に出ている良いイベントだと思いました。LieDeeDonkさんは完全に唯一無二のスタイルを確立していてやっぱりすごかった。

20. MITA OVERGROUND [11-23,24,25]

 学祭でDJしました。人が集まり過ぎて、怒涛の3days開催。早稲田や東大の方々を呼んだのも楽しかった。まったく打ち合わせもしていないのに、なぜか全員バイレファンキを流しまくり、挙句の果てにはsuleimanさんがバイレファンキの低音でブレーカーを落とす珍事が発生。動画が現地の人にめちゃくちゃ拡散されてブラジル人のフォロワーがめっちゃ増えた。

 こういう異文化盗用のような行為ってあまり歓迎されないと思っていたから、「地球の裏側にもバイレファンキで盛り上がっている奴らがいる!」と嬉々として反応が来たのは本当に意外だった。やっぱりブラジル人はノリがレベチらしい。

21. 大納言聖誕祭2023 [11-23]

 大納言さんのお誕生日を祝う AnotherDimensionの奇祭 大変おめでたいイベント。去年めちゃくちゃ楽しかったので今年はDJとして出演できて嬉しかったです。ユニークなメンバーが集まっていてバースデーパーティーとしてはもちろん、それ以前に魅力的なイベントとして成り立っていて大納言さんの人の好さが出ていたと思います。お誕生日おめでとうございます。これからも元気でいてくださいね。

22. イスカリオテ vol.3 "Deconstructionの巻" [12-16]

 阿佐ヶ谷Driftの今めちゃくちゃホットなイベント、イスカリオテに出演しました。今回はなんとデイ&ナイト同日開催の12時間ぶっ通し。自分はデイの方に出させてもらいました。

 自分が最も印象的だったのは、ドリフトのアットホームな感じや来てくれた人の温かい言葉の数々でした。自分のDJを褒めてくれたどころか、曲いつも聴いてますという人、遠くからわざわざ現地に来てくれた人、自分のグッズを身に着けて来てくれた人までいて、本当に嬉しかった。その言葉のひとつひとつが僕の活動の大きな励みになります。本当にありがとうございました。これからもイスカリオテと阿佐ヶ谷Driftを応援しています。

23.  旨辛ハードコア [12-17]

 邪神さん主催、熱いキムチ鍋を食べながらアツいハードコアを聴くイベント。出演陣もいえブ勢、VR勢、ブレイクコア勢とクロスオーバー的ラインナップ。

 自分は前日のイスカリオテ(デイ出演)→イスカリオテ(ナイト客)→旨辛ハードコアとパーティ梯子三軒目という満身創痍の状態で登場。でもDJはめっちゃうまくいった。本当に今年のラスト出演に相応しい満足のいくDJができた。

 来ている人に年上の方が多くて恐縮だったけど、彼らと交流の機会があったのは本当に貴重な経験になった。そして何より上の世代の人たちが積み上げてきたものの厚みを感じたし、僕たちはそれに対してリスペクトを持ちつつも新しいものを作ってバトンを受け渡し続ける義務があると思った。コロナ禍の断絶を乗り越えて、今か今かと機会を伺っている次の世代の貪欲な活気を、どうか温かい目で見ていてくださればと思います。

おわりに.  2023年の総括

 今年は本当に多くのイベントに出させてもらい、とても楽しい日々を過ごすことができました。まずは、すべてのイベントを大きなトラブルなく無事に完遂できたことを嬉しく思います。これは企画者の方々はもちろん、クラブのスタッフの方々や演者の皆さんの協力があったからこそだったと思います。本当にありがとうございました。

 総括としては、ひとつのコミュニティに留まることなく様々なシーンやジャンルを横断してDJをし続けられたことがよかったなと思います。また、その中で自分の大切にしている一貫した表現を通すことに終始意識を向けていました。これは、僕があくまでもアーティスト、表現者としてブースに立つためです。客層や流行、ジャンルに気を取られ過ぎてなんでもざっくばらんにやってしまうとどれが自分の魂の乗った表現か分からなくなってしまいますから、それだけはあってはいけません。その上で僕はイベントのテーマやフロアの人たちと向き合い続けています。この想いが少しでも伝わっていたら幸いです。

 また、出演させていただいたイベントのフライヤーはすべて紙媒体に印刷しファイリングしています。これで過去にどんなイベントに出たか、どんな人と共演させてもらったかなど分かるようになっています。何においてもアーカイブは大事。全部大切な思い出です。

おまけ.  2024年の抱負

 2024年の出演情報も少しずつ出始めています!新年一発目はKAMINさん主催のSDCsになります。ドラムンベース × ○○coreがテーマの本イベント第三回目の開催です。僕も再びDriftでDJできることを楽しみにしています。ぜひ来てくださいね。

 また、2月11日にYakumo初となる主催イベントを開催します。既に演者は決定していて、年始の情報解禁を予定しています。今までになかった内容のパーティーとなっていると思うので、今後の情報をチェックしていただければと思います。

 今年はたくさんの人からたくさんの期待を受けて、たくさんいい思いをさせてもらいました。これからは企画者として、そのご恩を次の世代に託すという形でちょっとずつ返して行けたらなと思っています。

こ、これは…!

 本記事は以上になります。2024年もDJのオファーお待ちしております。お呼びとあらばどこへでも行くつもりですので、気軽にお声がけください。それではお疲れ様でした。また来年。

限界集落祭『現』 ー姫路遠征に行ってきました!ー

 この記事は2023/07/08に出演させていただいたクラブDJイベント限界集落祭『現』と、全4日間に及んだ遠征の出来事や感想をまとめた日記になります。

 

 ぜひ当日の再現mixを聴きながら読んでいただければと思います。

再現mixはこちら。新しくミックス用のアカウントを作りました↓↓↓

soundcloud.com

 

 

Ⅰ. 出演に至るまで - 限界集落祭とは?

 BPM200OVERの限界集落は、その名の通りBPMが200以上の音楽を好む者たちが集まるDiscordサーバーです。2022年の(確か)3月頃にサーバー主のλμκικαζεさんにより発足し、2023年の8月の時点で人数はなんと600人越え。もう限界集落どころじゃねえぞって感じですが、世間的に見ればマイナー音楽家の集まりなのでやっぱり限界かも。

世界一密度の高い香港のスラム街「九龍城砦」。僕の中の限界集落のイメージはこれです。

 そんな限界集落が昨年5月から定期的に開催している配信型DJイベント限界集落祭」。今回は念願の現地開催ということで、λμκικαζεさんの拠点である兵庫県姫路市で行われることになったのです。めでたい!

第1回限界集落祭のフライヤー。今見ると本当に"全員"がいてすごい。

 さて、今回イベントのお誘いをいただいたのは昨年の12月のことでした。僕は横浜に住んでいるので、まさかお話をいただけるとは夢にも思っていませんでした!嬉しさがあふれてくると同時に、プレッシャーもありました。わざわざ関東から呼んでいただけるからには、失敗はできないですよね。そして何よりも、私は出演者の中でもぶっちぎりの最年少だったので、本当にドキドキしました。普段は同世代の仲間たちといろいろやっているので、そういう意味でもアウェーな現場でした。

 そんなわけで、Yakumoは期待と不安を胸に、全4日間に及ぶ関西遠征へと向かったのでした。

 

Ⅱ. 0日目 - サンライズ出雲

 ということでついにこの日がやってきました。7月6日は木曜日、私は大学での授業を済ませた後、足早に東京駅へと向かいました。国内で唯一の寝台特急サンライズ出雲に乗るためです。

 たこぴーくんが学校帰りに合流してくれたので、一杯飲んだりしながら演者の皆様のお土産を一緒に選びました。

 午後10時、いよいよサンライズ出雲に乗り込みます!今回は寝台券が必要ない雑魚寝スペースを予約しました。実は新幹線で行くよりも安上がりだったりします。下の写真は外から見た寝台スペースなんですが、足元は左右の壁がないので隣の人がガッツリ見えちゃってますね。自分は狭いところが好きなのでそれなりに居心地は良かったです。

 ここから約12時間かけて出雲市へと向かうわけですが、この電車、めちゃくちゃ揺れます。僕はその揺れがどうも気になってほとんど寝れませんでした(泣)実は私サンライズ出雲に乗るのはこれで人生2回目なんですが、その時も同様だったのでどうやら相性が悪いようです。でも、小さい箱に収まって夜の真っ暗な線路を進んでいくのは貴重な体験で楽しかったです。シャワールームや自動販売機があったりとそれなりに快適なので、関西に行く際は一度乗ってみてはいかがでしょうか。

 

Ⅲ. 1日目 - 出雲・松江

 姫路からはそれなりに距離がありますが、折角の遠征ということで足を延ばして出雲に来ました。サンライズ出雲から降り、自由気ままな一人旅のスタートです。

 まずは駅に着くなり「やくも」のグッズをゲット。そう、ここ出雲は「やくも」の聖地でもあるのです。

八雲立つ 出雲八重垣 妻ごみに 八重垣つくる その八重垣を

 古事記に登場し、日本初の和歌とも言われる和歌が元ネタです。素敵ですね。このあと出雲のあらゆる場所で「やくも」の文字を見ることになりました。それだけで親近感が湧いてめちゃめちゃ楽しかったです。

 その後はレンタサイクルで無限に続く田んぼ道を爆走したり、巻き具合がえげつないしめ縄ソフトを食べたり、出雲大社に参拝に行ったりしました。一人旅楽しすぎワロタ。この時点で遠征に来てよかったですよねえ。

 その後はちゃんと特急やくも号にも乗りました。ずっとお前に会いたかった。

 少し移動して、松江に来ました。この日はあいにくの雨でしたが、さすが水の都と言われるだけあって雨に濡れた午後の街並みが実に風流でした。ここでは文豪小泉八雲ラフカディオ・ハーン)の記念館・旧居に赴きました。実は私小泉八雲が好きで、高校の卒業研究では八雲の作品研究で論文を書きました。Yakumoという名義も彼からとったんですよ。旧居から見る庭の眺めは本当に最高でしたね。

 残りの時間はホテルに籠って、翌日の準備や音源の最終調整の時間に当てました。出雲や松江に来るのはこれで人生3度目でしたが、何度来てもいいところだなって思います。僕は都会生まれ都会育ちで人間と人工物に囲まれて生きてきたので、島根の静かでどことなく神秘的な空気感に憧れがあるのかもしれませんね。異邦人小泉八雲がこの地に惚れ込んだのもよく分かります。そんなことを考えながら翌日の限界集落祭を楽しみにしつつ、1日目は眠りにつきました。

 

Ⅳ. 2日目 - 限界集落

 ついにこの日がやってきました。明け方6時頃、僕は大雨に見舞われながらも特急やくもに乗り込み、岡山を経由して姫路へと向かいました。駅で降りる直前までセトリの最終確認を行ったりと、とにかくやれることをギリギリまでやってました。

 姫路に着いて、炎天下の中汗をかきながら会場に向かっていると、街の騒音に紛れて何やらドゥンドゥン聞こえてきました。「おいおい、まだ会場からそれなりに距離あるぞ....?」と思いつつもさらに歩くと、やっぱり会場から漏れてくるキックの音でした。いや、低音デカすぎワロタ。それがRATSHALLの最初の印象でした。

奥の赤い建物がラッツホールのあるビル。この距離でもキックの4つ打ちがはっきり聞き取れました。

 中はかなり広い印象を受けました。関東の方にもわかるように言うなら、バーカウンターやブース裏のスペースを含めたらMOGRAの地下フロアくらいの広さでしょうか。ブースはあらゆる方向からスピーカーに囲まれていて、低音の圧を全身に受けることができます。λμκικαζεさんの持ち込んだ照明やスモークもあって、本当に良質な会場でした。地方にこれほど立派な箱はなかなかないのではないでしょうか。λμκικαζεさんのご厚意で、拙作「平成エクスプローラー EP」も置いていただきました。ありがとうございます。

 音出しと演者の顔合わせが済むと、いよいよ限界集落祭が始まりました!本当は各DJさんの感想を書いていきたいのですが、とんでもない量になってしまうので割愛させていただきます。33kさんやλμκικαζεさんの本場ハードダンスから始まり、Aquestionやexnoizさんのアーメン乱れ打ち、ハヤトムラカミさんの本格アンビエントなど、皆さん本当に多様な表現をされていて限界集落のなんでもあり感、BPM以外縛りがないからこその裾野の広さを改めて実感できました。来てくれたお客さんも喜んでそれに付いてきてくれて、終始本当に良い空気感を作れていたと思います。

  当日の様子は #限界集落祭 で確認できます!光と煙のなか、速くて激しい音楽に合わせて踊り狂う....これはまさに奇祭。

 肝心の僕はというと、実は自分の出番が終わるまでずっーと緊張しっぱなしでした。僕の前の番のスガハルさんも相当盛り上げていて、この熱を維持できるか不安でした。

 でも、ブースに立ったからには堂々と自信たっぷりにDJするって決めてます。やっぱりパフォーマンスをする人間としてうじうじしてられないなって思うので。そうすると、次第に場の流れに乗ってきて最終的には楽しくDJできるんです。今回もいざやってみると、お客さんや演者の皆さんがハチャメチャに盛り上げてくれたおかげで、僕も自分の100%を出すことができました。本当にありがとうございます。

 僕の当日のセットについても少しだけ話そうと思います。大まかにはFunkot→ナードコア→sextrance→(所謂) Japanse Hyperpop→Funkotの流れです。Spy47 - SUMMERからDJ 泉こなたらき☆すた繋ぎとか、細かく言いたいことは本当にたくさんありますが、きりがないので大事なことだけ書きます。

 まずは何よりも、夏をテーマにした選曲をしました。今年は絶対最高の夏にするって決めたので。皆さん8月の予定はもう決まりましたか?過ぎ去った7月を惜しみつつ、いよいよ本格化する夏に期待を膨らませながら聴いてもらえたら嬉しいです。

 そして、今回自分は関東を代表するつもりで姫路に来たので、東京を中心に盛り上がっている音楽やDJとしての雰囲気を重視しました。僕は特に今年5月に開催されたもっと!バビフェスと、その周辺のシーンに強い衝撃を受けたので、彼らの音楽と、彼らのパーティーに顕著なジャンルレスさを姫路に持ち込もうと思いました。なので45分のなかで展開が何度もあります。今回の僕のDJを気に入ってくださった方は、ぜひ関東のパーティーに足を運んでみてください。きっと僕よりもすごいDJやパフォーマンスをする人が何人もいます。これを機に僕らの「東京バイブス」を好きになってくれた人が少しでもいれば幸いです。

 パーティーが終わったあとは、今回演者としても参加していたハヤトムラカミさんの経営する座敷茶廊Cotenにて打ち上げを行いました。関西で初めてお会いした方のいろいろなお話が聞けて楽しかったです。が、自分はどうしても人と話すことが得意ではないので、もっとお話ししたいこともたくさんありました....。そんなコミュ障の僕でも優しく向かい入れてくれる皆さんには本当に感謝しかないです。いつかこの弱い自分を自分で認めて、少しずつでも善くなっていければいいなと思います。

 

 この日はドーミーイン姫路に泊まりました。ドーミーインはいいですよ!大きい温泉とサウナもあるし、夜食の中華そばやアイスが無料で食べられちゃいます。チェーンのビジネスホテルにしてはやや割高ですが、その分得られる満足感は半端ないです。皆さんも旅行などの際はぜひ泊まってみてくださいね。

 昼間の楽しいイベントを思い出しながら、この日は心地よい疲労と共に溶けるように眠ったのでした。

 

Ⅴ. 3日目 - 姫路市

 せっかく初めて姫路に来たので、市内を観光してから帰ります。太陽は出ていないのに、じめじめとした暑さで汗が止まらないような日でした。

 まずは姫路城は外せないですよね。λμκικαζεさんやPsyさんなど、地元の方にはなぜか不評でしたが、ここまで広いお城の観光は初めてだったので僕は結構楽しかったです。外国人観光客がとても多かったのが印象的でした。

 その後は前日の演者の方々と合流し、おいしい中華を食べた後に好古園に行きました。途中ありえないくらい強い雨に見舞われながらも、短冊に願い事を書いたりと楽しい一日を過ごしました。

 途中キッコウチクとかいう竹で盛り上がったりしてましたね。

 誰かと一緒に旅するの楽しすぎワロタ。ご飯は何でも美味しいし、都会過ぎず田舎過ぎないし、姫路は本当に良い街だと思いました。また行きたいなあ。

 「最後は名残惜しい気持ちと共に電車で自分の人生の方へ戻っていってフィニッシュです」*1

 これにて全4日間の僕の楽しい姫路遠征は終了しました。ここまで読んでくださった方、お疲れ様でした。

Ⅵ. おわりに

 僕が去年の4月頃にDJを始めたときは、まさか自分が関西に呼ばれるとは夢にも思っていませんでした。僕が今こんなにも楽しい思いをさせてもらっているのは、どれもこれも限界集落や、サーバー主のλμκικαζεさん、そして何よりも僕を輪の中に迎え入れてくれたサーバーの皆さんのおかげです。

 僕は今でも昨年の第1回限界集落祭ごろの日々をよく覚えています。sitosの兄貴が狂ったように毎晩DJしてましたよね。そんなナイスなDJを見ながらみんなでクソみたいなgif画像を送りあったりしましたよね。みんなバイブスが高すぎて限界集落祭の一週間も前からDJしっぱなしでしたよね。僕は限界集落でいろんな音楽に出会うことができたし、いろんな方と知り合うことができました。限界集落が僕を育ててくれたといっても過言ではないと思います。そんな素敵な場所に、今回少しでも恩返しができたのなら、これ以上幸せなことはないと思います。限界集落のみなさん、本当にありがとうございました。これからも限界集落を皆さんで盛り上げていければなと思います。

 

おまけ. 連れ回していたアイツの正体

 遠征に付き添ってくれていた小さな可愛いお友達。この子は一体何者なのでしょうか…?

 この子は主にYoubuteで動画を投稿している『お文具さん』に登場する「名もなき者」というキャラクターです。ちなみに抱いているオレンジのキャラクターは「ゼリーさん」。優しい言葉をかけてくれるキャラクターたちが、きっと疲れたあなたの心を癒してくれますよ。

youtu.be

 今回の記事は以上になります。ここまで読んでくださった方、ありがとうございました。それではまたどこかで、お疲れ様でした。

ぼっちでもDubtekとかいう最高の駄作

 この記事は2022/12/24にLost Frog Productions "ぶーと・こんぷれっくす!"にてリリースさせていただいた拙作"ぼっちでもDubtek"に関して、制作に至った経緯や曲に込めた思いなどを書いた記事になります。

 

曲のリンクはこちら↓↓↓

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Ⅰ. Yakumo - ぼっちでもDubtek

 拙作"ぼっちでもDubtek"は2022/12/24*1にネットレーベルLost Frog Productions様より、"ぶーと・こんぷれっくす!"にてリリースされた。クリスマスイブに何やってんだ。本コンピレーションはアニメ『ぼっち・ざ・ろっく!』に関するbootleg*2を集めた作品となっており、総勢40曲が収録されている。もちろん、自分が提出した本楽曲も原曲が存在している。「いやいや、『ぼっち・ざ・ろっく!』と何も関係ない曲じゃん!」と思われた方が大半だと思うので、本記事で詳しく語りたいと思う。ちなみにBPMは200で、原曲のちょうど1.25倍になっている。ジャンルはその名の通りDubtekというHardtekのサブジャンルとなっており、これについても後で詳しく言及する。

 リリースしてからは自分で思っていた以上に反響をいただけていて、本記事を作成している2023年5月現在でsoundcloudの再生回数は2,700回となっており、自分のアカウントで2番目に多く再生されている。また複数のDJイベントで本楽曲が流れたという事実を確認しており、なんとあのclub asiaのサブフロアでも流れたらしい。みなさま本当にありがとうございます。

 

和解せよさんのこのセット、"全部"をやっててすごい。

 

Ⅱ. 制作開始に至るまで

 『ぼっち・ざ・ろっく!』は、間違いなく2022年覇権アニメだったと思う。普段アニメをリアタイ視聴することのない自分も次回までの7日間がとても待ち遠しかったし、最終的にはAbemaの最速配信に屈して無料登録期間を使いつぶしてしまった。

 本楽曲の制作を開始したのは確か11月の中旬辺りで、本編は4~5話ぐらいまで放送されていた記憶がある。その後2~3週間ほどで完成した。レーベルからコンピレーション楽曲の募集告知が出る前だったので、まさに棚からぼた餅という感じだった。自分は当時からずっと4話が一番好きな回で、1~4話までを幾度となくリピートしていた。このタイミングで作品に対する何らかのアウトプットを起こしたい…と思いDAWを立ち上げた。なので楽曲の中でサンプリングされているセリフも全て4話までのものになっている(はず)。

 ぼっち・ざ・ろっく!が好きすぎて、江ノ島に伊地知 虹夏風コーデで聖地巡礼をしたりした。

 

Ⅲ. 楽曲のコンセプト

 4話が至高だと言い張る自分としては、どうしても『ぼっち・ざ・ろっく!』という作品におけるギャグ・日常パートに焦点を当てた楽曲が作りたかった。なぜなら、自分がこのアニメで一番感動したのは、青春モノらしい熱血さでも、彼女たちの熱い演奏でも、きらら特有の百合要素でもなく、主人公後藤ひとりを通して描かれるえげつないリアルさのコミュ障陰キャあるあるだったから。自分は現在進行形で現実が壊滅しているので、彼女の一挙手一投足に共感してしまった。ときには絶対に思い出したくない過去すら掘り起こされてしまった。助けてくれ、苦しい。

 そういうわけで、まずは作中2話、4話のぼっちちゃんが勝手に悪い妄想をして発狂してしまう部分をサンプリングすることを決めた。*3この時点で、作品の主題歌やエンディングを原曲にして制作することはコンセプトの雰囲気に合わないなと思った。(というか最初からその気がなかったのだが。)本楽曲の収録を許してくださったLost Frogさん、本当にありがとうございます。

 今回使用した原曲とのシナジーは、なんか突然思いついた。リンクを踏んでそのままPVを観ていただけるとわかるのだが、まじでオタクの悪いとこ全部出ちゃってて最高なんですよこれ。こういう何かを小馬鹿にしたような音楽のことを自分は勝手に煽リズムって呼んでます。そう言えばなんか聞こえよくないですか。もちろんこの楽曲はただそれだけじゃなくて、「俺みたいなボカロ好き陰キャオタクでも、カッコいいトラップやってやるぜ」みたいなテーマだと思うのだが、ぼっちでもDubtekはそれを早回しして、そこからさらにキックとアニメのセリフを乗せて、"こっち側"の音楽に引き戻している。なんて最悪なんだ。

※原曲のPVです。

 いつだったか、「ぼっち・ざ・ろっく!観たけど、本当の陰キャはロックなんて聴かねーから」みたいなツイートを見て、まあ確かにそうかもな…とか思ったので、「漏れが本当の陰キャ音楽ってやつを見せてやんよ…(ニチャア)」みたいなコンセプトで楽曲を作っていった。キモい。念のため申し上げておくと、別にロックや他のジャンルを攻撃したいわけでは全くありません。僕自身、最近はいろいろなジャンルを聴いているので、原曲とアニメの表現したい部分を踏襲した結果こうなったに過ぎません。ほんとだよ!

 ちなみにタイトルは原曲の歌詞のパロディになっている。これもすぐ思いついてこれしかない!って思った。

 

Ⅳ. ベースドロップの真相

 以上のコンセプトを踏まえて、ここからは本楽曲の具体的な内容について語っていく。

 まず2回あるDubtekドロップについて。DTMをある程度やったことのある人なら察しがついた方もいるかもしれないが、これは全てspliceの特定のサンプルパックをそのまま早回しして切り貼りしただけである。もう少し具体的に言うと、1st dropはVirtual Riotのベースループを、2nd dropはChime & Ace Auraのベースループをそのままキックベースに乗せただけで、加工も何もしていない。*4

 

こんな感じにサンプルをひたすら並べて切り貼りしたあとにフリーズしている。
一応技術的なことを言うと、"中央で鳴らす音"と"左右に広がりのある音"で分けて処理をして動きを出している。効果のほどは不明。

 これはもちろん狙ってやっている行為で、DTMerからしたら超ド定番で聴き覚えのあるサンプルたちが、あたかもいい感じのベースドロップ作りましたwみたいな体で高速で羅列されている。これはsoundcloudのタグにも書いてある通り「本物の陰キャはロックは聴かないしDubstepとかいうパリピEDMも聴かないんすわ^^(諸説あり)」という思想を含んだ煽リズムに他ならない。なんて最悪なんだ…。soundcloudの深淵で謎音楽(謎音楽の一例)を掘りまくった悪影響成果が出てしまった。

 また、妙に好評をいただいているガバ地帯(2:10~)は、ぼっちちゃんの不器用な部分をうまく表現できた気がして自分でも割と気に入っている。前に「一瞬だけアムステルダムに飛ばされて8小節で正気に戻るの面白いね」って言われた。個人的にはその後のねっとりthink breakが陰キャっぽいダウナーな感じを出してて好きです。

自分は普段から曲作りの際に参考にする楽曲をDAWに貼っているのだが、今回はあまりにも多すぎるだろ…。とプロジェクトファイルを改めて確認して思った。

 

Ⅴ. 文脈の受け皿としてのHardtek

 ここからはちょっと話を変えて、「なぜこの曲はHardtekになったのか」というやや哲学めいた問いを考えていく。

 まず大前提として、自分はsanpling music(曖昧なジャンル1)とかjaycore(曖昧なジャンル2)とかの辺りで頑張っていきたいという気持ちがあったから、必然的にジャンルの方向性はそちらに寄っていく。それはそうとしても、振り返ってみれば本楽曲は「よし、いまからいい感じのHardtek作るぞ」という動機があったわけではないことに気が付いた。じゃあなんでぼっちでもDubtekはHardtekとして作られたんだ…と自分でもよくわからなくなってしまったので、本記事を書くにあたっていろいろ考えた結果、自分は自分の望む文脈で消費されるためにHardtekという体裁を取ったという表現が一番しっくりくると思った。今回の場合なら、jaycoreというシーンの中で消費されてほしい、という気持ちがあったので、そのなかで扱われている音楽で一番マッチするHardtekを必然的に選択した。ということになる。だから、例えば今のHardtekの位置がそのままドラムンベースに置き換わっていたとしたら、ぼっちでもD'n'Bになっていた可能性もある。

 自分の場合、まず"表現したいこと"(今回の場合はⅢで言及した内容)みたいな抽象的な次元でアイデアが浮かんで、それを適切で具体的なテクスト(今回の場合はHardtek)に逐一落とし込むという制作プロセスになっていることにようやく気付いた。どおりで、「いい感じのキックができたからこれで1曲作るぞ!」と意気込んでも何も浮かんでこないわけである。

 そういう意味で、jaycoreのような広くて曖昧な定義で済んでいるジャンルは凄く活動しやすいということにも気が付いた。自分自身jaycoreは「こういう音が鳴ってたらjaycore」みたいな具体的な次元ではもはや定義不可能だと思っていて、むしろ精神性の問題な気がするので、そこで一貫性が保てていたら(少なくとも自分の音楽は)それでいいと思ってます。今は。

 この動画結構気に入ってる

 

Ⅵ. メタ的サンプリング手法

 最後に、自分のサンプリングという手法に対する態度をある程度言語化させることに成功したので、それも書いておく。

 先に結論を書いておくと、今回のようにアニメのセリフなどをサンプリングする場合、そこには必ず「アニメを見る私」という存在が暗示されている。これはDJ Sharpnel氏やLOLISTYLE GABBERSの3人を筆頭に伝統的に行われてきたアニメ礼賛的なサンプリングとは決定的に異なる。(と、少なくとも自分は思っている。)これを私は「メタ的サンプリング」と勝手に呼ぶことにした。そう言えばなんかかっこよくないですか。

 例えば本楽曲ではぼっちちゃんが「友達と写真なんて撮ったことない…」というセリフがサンプリングされているが、それは陰キャな「アニメを見る私」の代弁、自己投影の引用であり、それは本原曲の採用等の自己中心的な文脈によって裏付けられる。もちろんぼざろは最高だしそれに対するレスポンスや愛情表現も含まれてはいるものの、あくまでも見てほしい主役は「アニメを見る私」というわけだ。それは「作品を道具化している」「不健全だ」と言われてもおかしくないと思う。でも、私が今音楽でやりたいのってこういうことなんです。

 これが如実に出ているのが先日のM3にてリリースした"平成エクスプローラー EP"で、「平成のインターネットで流行った楽曲をリミックスしたからみんなで懐かしみながら聴こうぜ」みたいなつもりはなくて、あえてコンセプトを言語化するならば「大学生になった俺が団地の公園で本気のメントスコーラやる」みたいな感じ。メントスコーラで面白がってほしいわけじゃなくて、あくまで見てほしいのは「大学生にもなって本気でメントスコーラやってる俺」である。それはハッキリ言ってキモいしダサいし、少なくともノスタルジックないわゆる"エモい"とは遠くかけ離れたニュアンスが出ていると思う。

yakumo.bandcamp.com

 このバイブスは結構、ダリアコア*5の一部楽曲と近いものがあると思う。例えばsteejのこの曲、サムネイルにしても、ゲームの効果音のサンプリングにしても、懐かしいポケモンダイパを称賛したいわけじゃなくて、「無邪気にポケモンやってた昔の俺」みたいなメタ的表現だと思っている。ダリアコアはそこに音割れという要素が加わり、より破壊的な感情を含んでいる気がするが。2月に投稿した記事で書いた「こういうjaycoreが増えればいいな」というのはこういうことなんだと思います。多分。

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Ⅶ. 総評:最高の駄作

 以上のように、自分はかなり理詰めで音楽をやっているということが分かったかと思います。今回は、自分も自分で気付けていなかった部分をそれなりに上手く言語化できてすっきりしました。

 改めてなぜぼっちでもDubtekが自分の中ではそれなりにウケた曲になったのかを考えると、煽りの精神とか、メタ的なサンプリングが今までになかった新規性を生んだのかなと思いました。単に音としておもろいだけの可能性もあるけど。(というか多分そう)

 それらを踏まえたうえで、かなり非道徳な負の感情をむき出しにして作ってしまったこの曲は自分の中で愛憎のあるものになってしまいました。なのでこれを自分史上「最高の駄作」と評して本記事を締めくくりたいと思います。

 

 ここまで読んでくださった方、どうもありがとうございました。今後も気が向いたらいろいろ書いていこうと思います。これからもYakumoは頑張りますのでどうぞよろしくお願いします。

*1:ちょうど原作の最終回に合わせてリリースされた。

*2:一般に非公式のリミックスや、もとからある楽曲に音を付け足した楽曲のことを指す。

*3:特に、2話のバイトがうまくいかない妄想をする部分は、自分がコンビニでアルバイトをしているということも相まって本当に刺さってしまった。

*4:この曲のせいで「ばちゃーらいつもありがとう!」とかいう謎ミームが今も身内で流行り続けている。

*5:ダリアコアは定義が狭義なものと広義なものが混在しており混乱してしまうので、本投稿では、leroyの投稿した元祖dariacore、そこから影響を受けて生まれた(と考えられる)hyperflipやその他全てのムーヴメントを便宜上"ダリアコア"と呼ばせていただくことにする。

DIGITAL OFFLINEにDJとして参加しました ―僕がJaycoreに求めたモノ・僕たちのつくるJaycoreの未来―

この記事は2023/01/28に中野 Heavy Sick ZEROにて開催されたDIGITAL OFFLINEに出演したわたくしYakumoが、当日のセットリストの補足説明、及びそこで伝えたかったことを書いたものになります。

 

再現mixはこちら↓↓↓

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Ⅰ. 出演・セトリ決めに至るまで

 僕が本イベントの主催者である奇怪電波俱楽部さんから出演のオファーをいただいたのは、確か去年の10月頃だったと思う。あまりにも突然の連絡で本当に心の底から驚いたし、夢かとも思った。そもそも誰かからブッキングを貰うなんてこと自体初めてだったし、何よりも奇怪電波俱楽部さんがそこまで僕のことを認知してくださっていたとも思っていなかったので...。

 もちろんDIGITAL OFFLINEというイベントのことは知っていたし、僕は第一回に行ったことがあるのだが、そこで強烈な印象を受けたことをよく覚えている。何せ、演者の大半が現場に置かれているCDJに触れることなく自由にパフォーマンスをしていたのだから。それでもイベントは大いに盛り上がっていたし、機材の扱いの上手さや小手先のテクニックはあくまでお客さんを楽しませるための手段の一つにしか過ぎないんだな、と改めて気付かされた。それからは僕自身も変にテクニックに拘るのはやめようと思ったし、音楽だけではなく映像などの視覚的なパフォーマンスにも力を入れるようになった。(これが後にVJのsuleiman_1さんとのユニット、【初投稿】㍻インターネットやめろ流星群【歌ってみ... 2.8万 回視聴・9年前などにつながってゆく。)

 そういうわけで憧れのイベントに出演することになったのだが、僕がずっと考えていたことは、「僕がこのイベントでできる役目って何だろう?」ということだった。共演者は僕よりも有名ですごい人ばかりだし、いつも通りJ-core/Jaycoreを中心にやるにしてもLOLISTYLE GABBERSの三人が出演しているので彼らの曲が使えないというw

 結局しばらくの間思い悩むことになるのだが、昨年10月に開催された前回のDIGITAL OFFLINEの様子を見たり、そこでのIzum1さんのライブ音源を聴いたりしているうちに、「変にパーティーの雰囲気や客層を気にするのはやめて、今自分がDJとして表現したいことを自由にやればそれでいいんじゃないか」と思うようになった。それまでの演者の人たちは自分が本当にやりたい音楽を全力でやっているように見えたし、パーティーに来てくれるお客さんたちも”ノリノリな音楽で楽しく踊ろうぜ!”という感じよりはむしろ各DJの自由な表現を真剣に受け止めてくれる人たちだと思ったから。

 また、昨年12月に行ったnerdtronics2というMOGRAで音MADが流れまくるイベントで観た名有りさんのDJがめちゃくちゃ良くて、後日投稿していた記事で選曲に込めた思いを知って、「僕もデジタルオフラインでみんなに伝えたいことを本気で伝えるようなDJをしよう...!」と固く決意した。(本投稿も名有りさんの記事を大いに参考にさせていただきました。ありがとうございます。)

 名有りさんのnerdtronics2のDJmixはこちら↓↓↓

Stream 20221211 nerdtronics2 at MOGRA by naari3 | Listen online for free on SoundCloud

そんなこんなで、Yakumoはいつもの感じとはちょっと違うセトリを組み始めたのでした。

 

Ⅱ. セットリストについて

 はい、ようやくセットリストの補足説明に入ります。今回は前述の通り「今自分がDJとして表現したいこと」だけを意識してセットリストを組みました。そしてそれを一言で表すならば、副題にも書いた「僕がJaycore*1に求めたモノ・僕たちのつくるJaycoreの未来」ということになります。以下簡単な説明になります。

  • 僕がJaycoreに求めたモノ=ノスタルジー
    • サンプリングというのは過去にアクセスし、それを精算したり、新たな解釈を生んだりする行為。そこには常に過去に対する愛憎の念が含まれる。
    • ノスタルジーの対象はJaycoreの主流であるアニソンに留まらない。→アニリミ、アニソンサンプリング以外のJaycoreをもっと盛り上げたい。
  • 僕たち新しい世代のつくるJaycore
    • 僕がJaycoreを知ったのは、コロナショック以降。それまでシーンの中心であったWhatever Wavesは一度幕を閉じ、ロリガバは10周年という節目を迎えた後だった。 そんなシーンの姿を見た僕にとっては、全てが過ぎ去り、まるで時が止まってしまったかのように思えた。
    • 同月開催されたWhatever Waves Liteも踏まえ、Sharpnel世代でも、ロリガバ世代でもない、次の世代がつくる新たなJaycoreの予感を少しでも感じてもらいたかった。
  • サンプリングミュージックとしてのダリアコア*2
    • 異常なサウンドに注目されがちなダリアコアを、サンプリングミュージックという視点から再解釈を試みる。
    • そこには今のJaycoreにはほとんど見られないサンプリングセンスが潜んでいる。
    • Jaycoreのクリエイター、リスナーにとって新しい手掛かりになればと思った。

 以上の点を踏まえて組んだのがこちらのセットリスト。新曲の準備やら学業やらで忙しかったので、結局2、3日程度で決めた。

 ここから各曲ごとに語りたいことを書いていきます。曲名の部分から各音源のリンクに移動できるので、気になった曲があればぜひ聴いてみてください。

 

01. Hexacube - Create New World

 Sitosが主催し、自分も一曲参加させてもらったGame Sampler 001に収録されているHexacube氏のHardtek。多くの人が昔の記憶として心に残っているであろうマインクラフトをサンプリングしたこの曲は、今回のテーマであるノスタルジーを扱うにあたってぴったりなスタートだと思った。Create New Worldという曲名もこれから新しいJaycoreを提示するぞ!という意気込みにマッチしていた。前回出演したイベントでも使ったので二連続ということになったが、この曲が唯一無二すぎて代替案がなかった。

 

02. Moetek - Bloom of youth

 近年の国内Hardtek / Jaycoreシーンの第一線で活躍されているMoetek氏によるノスタルジー全開の楽曲。年齢もかなりお若いとのことなので、今後も間違いなく新世代を引っ張ってゆく存在だと思います。後半部分にHoney worksがサンプリングされているあたり、同じ世代だな~と感じます。

 

03. あやぽんず* feat.ビートまりお - インターネットサバイバー

 最近シーンの文脈やジャンルに縛られない選曲がかっこいいな...と思う機会が何度かあったので自分もやってみた。歌詞やPVにパロディが散りばめられているが、パロディもまたサンプリングの一種だと思います。前後の楽曲との音圧差を少なくするために若干のリマスターをおこなった。

 

04. Yakumo - Caramell Dansen ft. ㍻インターネットやめろ流星群

05. naari4 - Caramell11111

 前のインターネット音楽的な流れを受けて自分のトラックを使った。この曲には書きたいことが山ほどあるくらい自分がいま音楽で表現したいことがギュッと詰まっているので、DIGITAL OFFLINEという大きな場で流せてとても嬉しかった。また、今回は同じ原曲ということで、ここから名有りさんのhyperflipに繋げた。Jaycoreの文脈からダリアコアを聴かせるためには、サンプリングセンスの繋がりが大事かな~と思ったので。これ以降怒涛のダリアコアパートが続いてゆく。

 またダリアコアの選曲に関しては、前述の通り「サンプリングミュージックとしてのダリアコア」が今回のテーマの一つであったので、音そのものよりも何をどうサンプリングしているかを最重視している。

 

06. Ableman Live - Lagtrain but it's inspired by DariaCore

 大学の同期でいつも仲良くしてくれているAblemanが、leroyによる最初のdariacoreを聴いて受けた衝撃そのままに半日で作った会心の一曲。この曲は少なくともdariacoreではないのだが、ダリアコアの精神性は十分に受け継いでいると思う。彼の今後のさらなる活躍への期待も込めての選曲だった。Twitterではドナルドを永遠に擦ってるみたいですが、面白いやつなので仲良くしてやってくださいw

 

07. Jane Remover - 52 Blue Mondays

 ダリアコアの原初の精神性を辿ると、やはりleroyの本名義Jane Remover (旧dltzk) のTeen Weekにたどり着くだろう。 (なお、現在は一部の楽曲が削除されてしまっている。) 昨今のhyperflipの流れや日本のダリアコアシーンを見るに、その曲調は次第に明るいものになっている傾向があるように思えるが(もちろんそれは何も悪いことではないし、私自身好きな曲もたくさんある)、この曲には「人生なんてくそくらえだ!ミックス・マスタリングなんてくそくらえだ!」みたいな負のオーラを感じずにはいられない。一度そういった原点に立ち返ってから、改めてこれ以降のダリアコアを再解釈してほしいという気持ちを込めた。

 

08. saoirse dream - when your pizza rolls + horse girl with a gun

 僕が一番好きなダリアコア。一昔前の洋楽やUndertaleのゲーム音などが多くサンプリングされており、ノスタルジー全開のもうガチアンセム。そこに音割れという破壊行為が加わることによって、ダリアコア特有の過去に対する愛憎の混じった表現が生まれるのだと思う。こういう精神性のJaycoreがもっと増えればいいのになあ。

 

09. xaev - toby fox discovers the hyperpop soundfont

 この曲もZEDDなどのEDMやゲーム音楽などが多くサンプリングされている。またこの辺からハーフステップ→四つ打ちへとHardcoreのノリ感へと戻ってゆく。

 ちなみに曲のタイトルが最後のマッシュアップの伏線になっていたりする。

 

10. .。*゚+.*.𝓒𝓾𝓻𝓻𝓮𝓷。+..。*゚+ - INTERNET_IRIS

 国内ダリアコアシーンにおいて、カレンチャンのcurrencore、そしてmomone氏のdobicoreの二つを無視して語ることはまずできないだろう。両者ともダリアコアのノウハウを日本のオタクカルチャーと接近させつつ、上手な落としどころを抑えていると思う。ダリアコアのサウンド感にあまり慣れていない人でも入門としてオススメの二人です。

 

11. gingus - to derp or not to derp

 「一番好きなダリアコアアーティストは誰ですか?」と聞かれたら、僕は真っ先にsteejのgiratinightcoreを挙げる。まずサムネが素晴らしい。ポケモンプラチナのゲーム画面を使用しているあたり間違いなく同世代なんですよね。そのせいもあってかサンプリングの元ネタがめちゃくちゃ分かる。僕がサンプリングミュージックを聴くときに重視しているのはそのアーティストのサンプリングセンスに宿る精神性みたいなものなのだが、steejには他のダリアコアアーティストの何倍ものシンパシーを感じた。

 

12. 4nzu - DEAREST

 ダリアコア→Jaycoreの流れでサンプリングセンスにシナジーがあるのは、どう考えても4nzuさんを除いて他にはいない。ノスタルジーを手掛かりにJaycoreのサンプリング対象をポップス、洋楽にまで広げ大成させた氏の功績は(少なくもとも僕にとって)計り知れないものがある。ここの繋ぎで「ああ、ダリアコアとJaycoreって案外精神性が似てるんだな。」と思ってくれた人がひとりでもいてくれたら嬉しいです。

 

13. Yakumo - MEGAMIX in WINTER

 この日のために作ってきた新曲。ゲーム音楽、アニソン、EDMなど今回のセットを結果的に象徴するようなサンプリングセンスの一曲に仕上がった。物販にて頒布していたステッカー付きDLコード、CDも無事に完売ということで本当に感無量です...。ありがとうございました。

 

14. 4nzu - GIANT

 自分でも何度もやってるWatch Meがサンプリングされた楽曲。本場ダリアコアのセンスを日本に当てはめるとこの辺になるのではないかという提示の意味を込めての選曲だった。また音的にはSharpnel氏のスタイルを踏襲しており、この後のクラシックな楽曲への橋渡しとした。

 

15. Spy47 - TENDER KISS (Yakumo Edit)

 最後の最後で爆発的な盛り上がりを見せるために作ってきた必殺技。キック、ベースとそれっぽい音を置いただけなので制作時間は2時間くらい。J-core / Jaycoreの大アンセムをhyperflip調にeditすることによって、少しでも新しいスタイルのJaycoreの予感を感じてくれれば幸いです。中盤はsextrance / hexdを意識してバキバキになってる。

 

16. Toby Fox - Undertale

17. yanagamiyuki - Frontrooms Rescue and Exploration Service (feat. 可不)

 イベントの二日前くらいに思い付いたマッシュアップで最後の締めとした。そもそもなぜ今回のセットがこれほどUndertaleにフィーチャーしていたのかというと、僕ら世代がノスタルジーとして共有できる点、現場がヘビシのさらに地下フロア(アンダーグラウンド)だったという点、リフレインの”Memory”という曲が今回のセットを象徴している点など、様々な理由があったからである。

 自分の番が終わってDJ Himesamaにパスしたあと、氏が最後のループにビットクラッシュをかけた瞬間、「ああ、たった今僕のセットは完成したんだな。」と直感してひとりで感極まってました。

 

editの音源

 当日流したTENDER KISSのeditはフル尺で作っていて、折角なので聴いてほしいので音源リンクを置いておきます。自由に使ってください。ポイントとしてはwindowsやゲームの交換音などを入れてサンプリング的な側面から「ダリアコアっぽさ」を出したところだろうか。あとドロップのベースは位相が反転しているのでサブウーファーがモノラルに処理されているクラブとかで流すと低音が消えます。当日は音出しで位相反転ベースを流して大丈夫かどうか確認してました。

https://drive.google.com/drive/folders/1FgrUVd9g5lGTmBJAzy9nM7hcD_9Lcrro?usp=sharing

 

Ⅲ. 雑記

 とりあえず書きたいことは書き終わったので、ここからはイベントの感想や僕の最近の音楽事情について書いていこうと思います。

 

当日の様子とか

 イベント前、奇怪電波俱楽部さんの提案で演者の方々と中野ブロードウェイを周った。まんだらけに着いた途端、各々の目当てのものを探して霧散していったのはちょっと面白かったw オタクの性だろうか。自分も自分でテクネチウムの東方アレンジCDをゲットしたり、その後合流できたDJマヤノトップガンゆるゆりの単行本(正しくは大室家というスピンオフ)を買ったりとホクホクだった。

 16時ごろに現場入り、音出しが始まった。いつだったか、「音出し時間は練習時間じゃない!」みたいなツイートを見て本当にUSBのデータがちゃんと読み込めるかを確認しただけにしたのだが、本番中左側のCDJのジョグの反応が異常に敏感になっていることに気付いてちょっとミスしてしまった...。時間はたっぷりあったわけだし、数曲つなぐ程度の確認はすべきだったとちょっと、いや結構後悔した;;

 イベントが始まってからは2フロアを終始行ったり来たりして本当に楽しかった。みんな本当にDJが上手だったし、各々が思うオタク音楽、みたいな個性が出ていて面白かった。個人的にはナードハさん、DJマヤノトップガン、僕の学生DJ三人組で仲良く繋いでいけたのが嬉しかった。

 自分のプレイ中は、実は最後まで緊張しっぱなしだった。でもみんなは終始盛り上がってくれたし、特に大きな問題も起こさず何とかやり切れてよかった。例のジョグの敏感さに気付いてからは余計な拘りを捨ててSYNKを入れてやっていた。SYNKモードの練習もしていてよかった...。最後のTENDER KISSでの盛り上がりや、マッシュアップでの感動は忘れられない本当にいい思い出になりました。

 物販では自分の曲を買ってくれる人を間近で観ることができて非常に嬉しかった。ちなみにデジタルオフラインのTシャツも売ってあったのだが、開演前に演者が全部買って売り切れてしまったw

 全てのDJの出番が終わりイベントが終了したとき、「やりきった~!」という達成感と開放感が一気に湧いて出てきた。当日まで新曲の準備やらセトリ決めやらDJの練習やら学校のレポートとかテストやらで本当に大変だったので...。とにかく全てが問題なく済んで本当にホッとしています。まあ学校の単位は落としたけどw

 この記事はちょうどイベントの一週間後に書いているのだが、まだ終わってから7日した経っていないというのが信じられない。振り返ってみれば、出演が決まってから当日まで、長いようで短い時間でした。それら全てがかけがえのない思い出です;;

 

ダリアコアについてのあれこれ

 僕がダリアコアという一連のムーヴメントを知ったのは、確か去年の秋ごろだったと思う。なので自分にとってはめちゃめちゃナウい音楽というイメージがある。きっかけはそれこそ今回のセットにも使用したAblemanのラグトレインリミックスで、そこからsuleimanさんなどにシーンの変遷などを教えてもらいながらいろいろ聴いていった。

 そうやって彼らと好きなダリアコアを共有しあっているうちに、とあることに気付いた。「ダリアコアリスナーには異常なサウンドに注目して聴いている人と、サンプリングセンスに注目して聴いている人がいて、どちらかといえば前者のほうがマジョリティである」ということだ。もちろん音楽の聴き方に正解・不正解なんてないので、それが悪いというわけでは決してない。ただ個人的にはダリアコアのサンプリングミュージックとしての面を高く評価していて、そこによりスポットライトが当たってほしいという気持ちがある。普段からサンプリングセンスに着目してJaycoreなどを聴いている人たちが来てくれる今回のDIGITAL OFFLINEは、そういう姿勢の提示には絶好のチャンスだと思った。

 ダリアコアでサンプリングされる素材は、主にPCやゲームの効果音、数年前の洋楽、EDMなどが多い(と思っている)。それらは過去への執着として読み取ることが可能ではないか。そしてここからが一番大事なのだが、そういったサンプリングに音割れという破壊的加工が加わることで、愛憎の混じった感情が表現される。ここにほかの音楽では味わえないものがあると思う。「あの頃にはそれなりに思い出があるけども、決して幸せだったとは言えないし、戻りたいとは思わない...。」この気持ち、僕はすご~~~く分かるんですよね。僕も今でこそこうやっていろんな機会をいただけてそれなりに楽しく過ごせていますが、あの頃の僕は本当にどうしようもないやつだったので...。遠く離れた外国でも同じような経験をしてきたティーンがいると思うと、本当に切ない気持ちになるんですよね。

 ダリアコアの特徴としてもう一つ挙げられるものに、全く飾り気のないサムネイルとタイトルがある。これもいいんですよね。そもそもleroyがダリアのサムネにしてdariacoreと名付けたのも、別にダリアが好きなわけではなくて曲ができたときにたまたまテレビでダリアがやってたから、とかそんな理由なんだと思うw この手で一番好きなのはcrafter2011ですかね。2011年にマイクラやってたんだと思う。サムネイルもその頃に友達と一緒に遊んでた時のスクショとかであってほしい。いやきっとそうだと思う。そういう内輪にしか伝わらないネタにしか存在しないメッセージ性があると思います。

 気付けばつい長々と語ってしまいました。これ以上余計なことを書いても仕方ないので、最後に最近聴いていいなと思ったダリアコアを貼って終わりにします。

fennecxxkneaded.bandcamp.com

 

Ⅳ. おわりに

 ここまで読んでくださった方、どうもありがとうございました。僕自身も最近思うことに関して言語化して整理できるいい機会でした。今回の僕のDJと記事がなにか新しいことの発見に繋がれば幸いです。Yakumoはこれからも自分なりに活動していこうと思うので、どうぞ応援よろしくお願いします。

 また僕の考えに共感してくださったレーベルオーナーやオーガナイザーの方々は、機会がありましたら僕に声かけてくださると幸いです。基本的に先約があったり多忙な時期であったりしなければ断ることもないと思うので。無報酬も大歓迎です。そうやって機会を与えてくださることそれ自体が何よりもの報酬なので...。

 それでは、お疲れ様でした。またどこかでお会いしましょう。

 

*1:Jaycoreというジャンルの定義は非常に曖昧で、その人や地域によって非常に解釈が分かれる。本投稿では、音楽的なジャンルというよりも、シーンの中心であるWhatever Waves、及びその周辺のパーティーで流れるような全ての音楽を便宜上"Jaycore"と呼ぶことにしたい。

*2:こちらも非常に派生作品が多く定義が曖昧なジャンルである。本投稿では、leroyの投稿した元祖dariacore、そこから影響を受けて生まれた(と考えられる)hyperflipやその他全てのムーヴメントを便宜上"ダリアコア"と呼ばせていただくことにする。